ショップカードの特典の決め方|原価と来店回数から、お店が損をしない特典を選ぶ

先に結論
ショップカードの特典は、「ゴールまでの売上のうち、いくらまでなら出せるか」を先に計算し、その金額の中で「次の来店につながるもの」を選ぶと、損をせずに続けられます。
- 原価:ゴールまでの売上合計に、出せる割合をかけて上限を決める
- 次の来店:特典を受け取りに、もう一度来てもらえる形にする
- お店らしさ:ほかのお店でももらえる割引より、そのお店でしか受けられないものにする
品物を特典にするときは、景品表示法の「総付景品」の上限にも気をつけます。同じ商品をもう1つ、次回のお会計から値引きといった形は、値引きとして扱われる場合があります。
「ポイントが10個たまったら、500円引き」。ショップカードを作るとき、多くのお店がまずこう考えます。けれど、いざ始めてみると「500円引きのために通っている人はいるのだろうか」「この特典で、利益を削りすぎていないか」と迷いが出てきます。
特典は、ショップカードの中でいちばん悩むところです。大きくすれば利益が減り、小さくすれば誰も目指さない。この記事では、あなたのお店が損をせずに、お客さまが目指したくなる特典を決めるための考え方を、計算のしかたと業種別の例、気をつけたいルールまで順番にまとめます。
ショップカードの特典で、なぜお店は迷うのか?
迷う理由は、特典を「割引の大きさ」だけで考えてしまうからです。本当に決めるべきなのは、いくらまでなら出せるかという上限と、その特典で次の来店が生まれるかどうかの2つです。この2つを分けて考えると、選ぶ範囲がぐっと狭まります。
割引の大きさだけで考えると、「ほかのお店より大きく」「せっかくだから目立つものを」と、気づかないうちに特典がふくらんでいきます。反対に、利益を気にして小さくしすぎると、お客さまはカードの存在を忘れてしまいます。
「大きいほどいい」と考えると、3年後に利益が削れる
特典は1回きりのセールと違い、ショップカードを続けるかぎり毎月出ていきます。常連のお客さまが増えるほど、特典の数も増える。最初に「売上の何%まで」と線を引いておかないと、お店がうまくいくほど特典の負担が重くなるという、逆の状態が起きます。
「小さすぎる特典」は、カードを使われなくする
一方で、10回通ってガム1つ、では誰も目指しません。特典が小さすぎると、お客さまはQRコードを読むこと自体を面倒に感じ、ポイントが付かなくなります。カードが使われなければ、友だちのつながりも、来店の記録も残りません。
特典は、どんな基準で選べばいいのか?
特典を選ぶ基準は、「原価がわかって上限の中に収まるか」「受け取りにもう一度来てもらえるか」「お店らしさがあるか」の3つです。3つすべてに当てはまるものが見つかれば、それが一番の候補です。
| 基準 | 確かめること | 当てはまらない例 |
|---|---|---|
| 原価 | 1回あたりいくらかかるか、計算できる | 「何でも1品無料」で、高いメニューを選ばれる |
| 次の来店 | 受け取るために、もう一度来てもらえる | その場で渡して終わる品物だけ |
| お店らしさ | そのお店でしか受けられない | どのお店でも見かける「◯円引き」だけ |
「次回使える」にすると、特典がそのまま来店理由になる
ゴールしたその日に特典を渡すより、次の来店のときに使える特典チケットにすると、特典そのものがもう一度来る理由になります。LINEのショップカードでは、ゴールすると特典チケットが表示され、お客さまは使うときにそのチケットを見せます。使える期限を決めておけば、「期限までに行こう」というきっかけにもなります。
お店らしい特典は、割引より記憶に残る
「500円引き」は、どのお店でも同じ価値です。ところが「次回、ヘッドスパを5分延長」「季節のケーキを1つ」は、そのお店でしか受けられません。お客さまの記憶に残るのは、金額よりそのお店の得意なことに触れた体験です。
特典にかけられる金額は、どうやって計算するのか?
「ゴールまでにお客さまが払う金額の合計」に「特典に回してもよい割合」をかけると、特典の原価の上限が出ます。割合はお店の利益の状態によって変わるので、まず自分のお店で何%まで出せるかを決めることから始めます。
計算の例では、客単価6,000円のお店で、ゴールを6回の来店にしたとき、ゴールまでの売上の合計は3万6,000円です。そのうち3%を特典に回すと決めれば、特典の原価は1,080円までになります。ここで大事なのは「定価」ではなく「原価」で考えることです。定価2,000円のトリートメントでも、材料と時間の原価が1,000円以内なら上限に収まります。
ゴールの回数を変えると、出せる特典も変わる
ゴールを6回から10回にすれば、同じ3%でも出せる原価は1,800円に増えます。ただし、月に1回来るお客さまなら、ゴールまで10か月かかります。ゴールの回数と特典の大きさは、セットで動かして決めましょう。近いゴールに小さな特典、遠いゴールに大きな特典が基本の組み合わせです。
割合は「小さく始めて、あとで広げる」方が損をしない
何%を特典に回すかは、お店の利益の状態で決めます。迷うなら、最初は小さめの割合で始めましょう。特典をあとから大きくするのはお客さまに喜ばれますが、小さくするのは「前より悪くなった」と受け取られやすいからです。3か月ほど続けて、ゴールした人の数と利益の変化を見てから、広げるかどうかを決めても遅くありません。
計算に使う客単価は、メニュー表の値段ではなく、予約台帳やレジの記録から出した実際の平均を使います。カットだけの人とカラーもする人が混ざっているお店なら、いちばん多いメニューの組み合わせで一度計算し、ほかの組み合わせでも上限を超えないか確かめておくと安心です。
品物の特典は「景品のルール」にも気をつける
ショップカードの特典で品物を渡すときは、景品表示法のルールにも目を向けておきます。消費者庁の案内では、購入や来店を条件に全員に渡す景品(総付景品)の上限は、取引価額が1,000円未満なら200円、1,000円以上なら取引価額の10分の2までとされています。
一方、消費者庁のQ&Aでは、次回以降のお会計に使えるポイントや、「コーヒー5杯でコーヒー1杯無料」のように同じ商品を付ける形は、値引きとして景品類にあたらないと説明されています。ただし、買った数より多くの同じ商品を付ける場合や、値引きと景品を同じ企画で選べるようにする場合は、扱いが変わることがあります。品物の特典を考えるときは、Q&Aを一度読んでおき、迷ったら消費者庁の窓口に確かめると安心です。
業種ごとに、どんな特典が向いているのか?
向いている特典は、お店の得意なことと、お客さまが次に受けたいメニューによって変わります。施術のお店なら時間や追加のケア、飲食のお店なら1品や1杯、物販のお店なら次回の値引きが、原価を計算しやすく、次の来店にもつながります。
| 業種 | 特典の例 | 次の来店へのつなげ方 |
|---|---|---|
| 美容室 | 次回のトリートメント・ヘッドスパの追加 | 次回の予約のときに使えるチケットにする |
| ネイル・まつげ | 次回のオフ代・ケアの追加 | 付け替えの時期に合わせた期限にする |
| 整体・エステ | 次回の施術時間の延長 | 「次の施術で、ここを長めに見ます」と伝える |
| カフェ・飲食 | ドリンク1杯・デザート1品 | 季節の限定メニューの時期に使えるようにする |
| 教室・ジム | 体験レッスン1回分を友だちに | お客さまが友だちを連れてくるきっかけにする |
原価ゼロでも喜ばれる、3つの特典
原価をかけられないお店でも、喜ばれる特典はあります。たとえば施術や滞在の時間を少し延ばす、混む時期の予約を先に受け付ける、好きな席や担当を選べる。どれも材料費はかかりませんが、常連のお客さまにとっては「大事にされている」と感じられる特典です。
途中の特典で、ゴールまでの離脱を防ぐ
LINEヤフーのコラムでも、ゴールの手前に段階的な特典を用意する考え方が紹介されています。たとえば6ポイントがゴールなら、3ポイント目に小さな特典を置く。途中で一度うれしいことがあると、お客さまはゴールまで通い続けやすくなります。
決める前に、常連のお客さま3人に聞いてみる
特典の候補が2つ、3つに絞れたら、よく来てくれるお客さまに「もしもらえるなら、どちらがうれしいですか」と聞いてみてください。施術中や会計のときの雑談で十分です。お店が思っている「うれしい特典」と、お客さまが本当に欲しいものは、意外とずれていることがあります。3人に聞くだけでも、決め手が見つかることは少なくありません。
特典の名前は、もらえるものが一目でわかる言い方にする
ショップカードの画面に書く特典の名前は、「スペシャル特典」のようなあいまいな言い方より、「次回のヘッドスパ5分延長」「ドリンク1杯サービス」のように、何がもらえるかがそのまま伝わる言い方にします。お客さまがカードを開いたとき、ゴールの先にあるものが具体的に思い浮かぶほど、目指してもらいやすくなります。
割引と品物・サービス、どちらを特典にすればいいのか?
どちらにも良さがあるので、お店が何を大事にしたいかで選びます。原価を読みやすく、次の来店にそのままつなげたいなら次回の値引き。お店らしさを伝え、記憶に残したいなら品物やサービスの追加が向いています。
- 原価がそのまま読める
- 使うために次も来てもらえる
- どのお店でも同じ価値に見えやすい
- 値引きに慣れると、定価で来にくくなることがある
- お店の得意なことを伝えられる
- 「得をした」実感が残りやすい
- 原価の計算に手間がかかる
- 品物は景品のルールに気をつける
値引きを特典にするなら、「定価に戻ったとき」を考えておく
大きな値引きを特典にすると、特典を使った次の来店で、お客さまは定価に戻ったと感じます。特典のあとに来店が途切れないように、値引きの幅は小さめにして、受け取るタイミングを次の来店にするのが、値引きを特典にするときのコツです。
もうひとつ気をつけたいのは、値引きの金額を「◯%オフ」にするか「◯円引き」にするかです。%で決めると、高いメニューを選んだお客さまほど値引きが大きくなり、原価の上限を読みにくくなります。上限を守りたいお店は、「次回のお会計から500円引き」のように金額で決めておくと、計算がずれません。
特典を渡したあと、次の来店につなげるには?
特典を渡す日を、カードの終わりにしないことです。特典を使うときに次のカードの1ポイント目を付けたり、ゴールの翌日にお礼のLINEを送ったりすると、特典のあとも通う流れが続きます。
特典のチケットは、次回のご来店のときにお使いいただけます。 新しいカードも始まっていますので、これからもよろしくお願いします。
LINEのショップカードには、ゴールしたお客さまのカードを次のカードに切り替える「ランクアップ」の機能もあります。1枚目のゴールで小さな特典、2枚目のゴールで少し大きな特典、という形にしておくと、長く通ってくれるお客さまほど得をする仕組みを、計算した上限の中で作れます。
ゴールした人が「何人」いるかを毎月数える
特典が合っているかどうかは、毎月ゴールした人の数でわかります。ポイントはたまっているのにゴールする人が少なければ、ゴールが遠いか、特典が目指したくなるものになっていません。逆にゴールする人が多すぎて利益が苦しいなら、計算した上限を超えていないか見直します。離れていくお客さまをどう減らすかは、お客さまが離れていくお店向けのページにもまとめています。
特典の見直しは、先にお知らせしてから
特典を変えるときは、すでにポイントをためているお客さまへの約束が変わります。変更の日を決めてLINEで先にお知らせし、それまでにゴールした人には前の特典を渡しましょう。ショップカードの機能の全体は、ショップカードの機能ページで確かめられます。
今日からできる、特典決めのチェックリスト
- □ 客単価とゴールまでの来店回数から、ゴールまでの売上を計算した
- □ そのうち何%を特典に回すかを決めた
- □ 上限の中で、「次の来店」と「お店らしさ」に合う特典を選んだ
- □ 品物を特典にするなら、景品のルールを確かめた
- □ ゴールした翌日に送るお礼のLINEを用意した
特典は、お客さまへの「また来てください」の気持ちを形にしたものです。お店が無理なく続けられる大きさで、お客さまが目指したくなるものを、計算と相談で決めていきましょう。
よくある質問
ショップカードの特典は、割引と品物のどちらがいいですか?
どちらにも良さがあります。次回の値引きは原価がわかりやすく、受け取るために次も来てもらえます。品物やサービスの追加は「得をした」実感が残りやすく、お店らしさも出せます。迷ったら「次の来店のときに使える特典」にすると、どちらを選んでも来店につながります。
特典にかけていい金額の目安はありますか?
決まった目安はありません。ゴールまでにお客さまが払う金額の合計を出し、そのうち何%までなら利益を削っても続けられるかを、お店で決めます。たとえばゴールまでの売上が3万6,000円で、3%まで出せるなら、特典の原価は1,080円までです。
景品表示法で、特典に上限はありますか?
購入や来店を条件に全員に渡す景品は「総付景品」にあたり、消費者庁の案内では、取引価額が1,000円未満なら200円まで、1,000円以上なら取引価額の10分の2までとされています。一方、同じ商品をもう1つ付ける、次回のお会計から値引きする、といった形は値引きとして扱われる場合があります。判断に迷うときは消費者庁の窓口に確認しましょう。
特典を途中で変えてもいいですか?
変えられますが、すでにポイントをためているお客さまにとっては約束が変わることになります。変えるときは、変更の日を決めてLINEで先にお知らせし、それまでにゴールしたお客さまには前の特典を渡すと、不満が出にくくなります。
特典をもらったお客さまが、そのあと来なくなりませんか?
ゴールを「終わり」にしないことが大切です。特典を次の来店のときに使える形にしたり、ゴール後に新しいカードを始めてもらったりすると、特典のあとも通う理由が続きます。特典を渡すときに、次のカードの1ポイント目を付けるのも一つの方法です。
小さなお店で、特典の原価をかけられません。
原価がほとんどかからない特典もあります。たとえば施術時間を5分延ばす、好きな席を先に選べる、次回の予約を優先して受け付けるなどです。お金ではなく「このお店だから受けられること」を特典にすると、原価をかけずに喜んでもらえます。
出典・参考(2026年10月1日時点)
- 消費者庁「景品規制の概要」(総付景品の限度額)
- 消費者庁「景品に関するQ&A 総付景品について」(限度額・取引価額の考え方)
- 消費者庁「景品に関するQ&A 景品類ではないもの」(次回以降に使えるポイント・同じ商品の付加・値引きと景品の選択)
- LINEヤフー for Business「ショップカードの活用方法」(初回のポイント・低めのゴール・途中の特典の考え方)
- LINEヤフー for Business「ショップカード」マニュアル(特典チケット・ランクアップ)
記事の内容は2026年10月1日時点の情報です。最新の仕様・料金は各公式サイトでご確認ください。